10





 そして、約束していたカラオケの当日。ろくに眠れないまま待ち合わせ場所に向かう亜衣子の姿があった。ほんとうはドタキャンでもしてしまいたかったけれど、未唯菜が家にまで迎えに来たので、それもかなわなかったのだ。

 知らなかった頃ならいざ知らず、高坂の報われない想いを知ってしまったいまは、平気な顔で一緒に遊びに行くことなんて、できるかどうか自信がない。なのに、待ち合わせ場所に着くと同時に高坂と逢ってしまって、とっさに笑顔で挨拶を交わしたけれど、自分はちゃんと笑えていただろうか?

「あ…久しぶり」

「ああ、うん…何だか本調子じゃなさそうだけど、体調でも悪いのか?」

「ううんっ 大丈夫よ、心配しないでっっ」

 ああ。やはり、何となく空気が重い。祐真が来てくれれば少しはマシになるかも知れないけれど。

「いやー悪いねっ こっちに俺用事があったからさあ、場所と時間を変更してくれたほうが都合がよかったんだあ」

 明るく言いながら、祐真がやってくる。ホッとすると同時に、いまはその能天気さが憎くてたまらない。姉の自分がこんなに苦悩しているというのに、この弟ときたら……。

「じ、じゃ、そろそろ行こうか……」

 と、高坂が言いかけた時。唐突にかけられる、祐真以上に明るい声。

「あら。慎ちゃんじゃない? こんなとこで会うなんて、ぐうぜーんっ」

 近付いてくる、忘れたくても忘れられない、妙齢の女性の姿。亜衣子の表情が、全身が、まるで少しずつ凍りついていくように動けなくなっていく。

「あら、慎ちゃんのお友達? こっちの男の子にはこの間会ったけど、女の子の友達もいたのね、慎ちゃんも隅におけないわねー」

 にこにこにこ。人好きのする笑顔で近付いてくる、パンツスーツの上下に身を包んだ相手。遠目で見た時と違って、近くで見れば見るほど綺麗な女性だ。高坂が心を奪われても仕方がないと思ってしまうほどに。ぺこりと頭を下げる祐真と未唯菜に気付き、亜衣子も慌てて頭を下げる。信じられない言葉が耳に飛び込んできたのは、次の瞬間のこと。

「初めまして、中嶋みゆきと申します。この慎吾の叔母です、どうぞよろしく」

 その言葉を聞いた瞬間、亜衣子ははじかれたように顔を上げていた。

「あー、うちの親父七人兄弟の長男でさ。このみゆきさんはその末の妹で、ずいぶん歳が離れてるんだよ。これでも三十路越えてるんだぜ?」

「女の歳をばらすんじゃないわよっっ」

 べしっと高坂の後頭部に入る、みゆきの平手。

「え…じゃあ……」

「旧姓・高坂みゆきでーす。ずっとどこぞのタレントみたいな名前って言われてて、結婚したらそんなことなくなるかと思ってたのに、今度はどこぞのシンガーソングライターだもんねえ、嫌になっちゃうわあ」

 と、そのシンガーソングライターに負けないぐらいの明るさで、みゆきは笑う。

「て、ことは。慎吾先輩とは、完全に血のつながった叔母さんってことになるんですか?」

 祐真の問いに、みゆきはけろりと答える。

「そうよー。慎ちゃんが生まれた頃からさんざん面倒見てて、おむつだって換えたげた仲よー。可愛かったわあ、ちっちゃい頃の慎ちゃん…いまじゃ、こんなに馬鹿デカくなっちゃってさ」

「それは言うなって! 確かに世話にはなったけどさ」

 自分はいま、どんな顔をしているのだろう? 亜衣子はもう、何も考えられなくなっていて、自分の顔が急速に赤くなっていくのを止めることができなかった。祐真や未唯菜、そして高坂が驚いたような顔でこちらを見ていることにも気付いているのに────高坂の叔母だという人物だけは、気のせいか楽しそうな表情を浮かべているが、その理由を考えるどころか、自分の唇がいまどんな言葉を紡いでいるのかさえ考えることもできない。

「や…やだ、あたし……」

 てっきり高坂の想い人だと思っていたひとは、実は高坂とちゃんと血のつながった叔母で、更に高坂が生まれた時から知っているともなれば恋愛感情を持つことなどあるはずがなくて────亜衣子からしてみれば、物心がつく前からずっと一緒に育ってきた祐真に恋愛感情を抱けるかと言われるようなものだ────完全に自分の独りよがりの末の勘違いだと気付いた時には、恥ずかしくて恥ずかしくて、消えてしまいたくなった。

「あたし、勝手に勘違いしちゃって……」

「いったい、どう勘違いしたんだ?」

 高坂に問われても────というか高坂本人だからこそ答えられる訳もなくて、ほとんど無意識にふるふると首を横に振る。もう、何を言っていいのかどんな顔をしたらいいのかわからない。わかるのは、ただ自分が恥ずかしいことをしてしまったということだけ。

「えっとー…弟さんは『祐真』くんだっけ? お姉さんはお名前何ておっしゃるの?」

 だから、みゆきの言葉は天の助けとしか思えなくて、反射的に頭を下げながら、いつもの自分だったら出せないような大きな声で言葉を発してしまった。

「あっ ごあいさつが遅れました、高坂くんの高校の同級生だった笹野亜衣子と申しますっ 高坂くんには、弟ともどもいつもお世話になっておりますっっ」

「祐真くんと同じく後輩の、藤原未唯菜ですー」

 亜衣子に続いて、未唯菜もぺこりと頭を下げる。それを見たとたん、それまで楽しそうな笑顔だったみゆきの表情がふ…っと優しい微笑みに変わり。ぽんっと片手を亜衣子の肩に置いた。

「こちらこそ、甥がお世話になってます。これからもどうぞよろしくね、亜衣子ちゃん」

 単なる友人に向ける笑顔にしては、深い慈愛に満ちているような微笑みに、亜衣子の心も次第に落ち着きを取り戻して。みゆきが手を離す頃には、何とか平静を取り戻しつつあった。

「よかったら、これからお昼でも一緒にと言いたいところだったんだけど、いまから取引先に行かなきゃならないのよねー。せわしなくてごめんなさいねー」

「相変わらず忙しいんだな」

「これでも営業のエースですんでねー。それじゃみんな、今度は家のほうに遊びに来てねー。思いっきりおもてなししちゃうからっ」

 それだけ言って、現れた時と同じように颯爽とみゆきは去っていってしまった。まるで風のようだと亜衣子は思う。

「お元気なひとね…」

「あれで更に旦那も子どももいるんだからすごいよな。俺のイトコってことになるんだけど、二人ともまだ小学生なんだぜ?」

「すげー、パワフル…」

 祐真が感心したように呟く。

「それにしても、ずいぶん歳の近い叔母さまなんですね」

「ああ、だから昔っから『叔母さん』って呼ぶと怒られてた。いまでも呼ぶと鉄拳が飛んでくるんだぜ?」

 苦笑いしながら高坂が告げる内容が、何だか目に見えるようだ。

「それじゃ、そろそろ行くか。昼メシは、カラオケ屋で食ってもいいだろ」

「そうっスね、わざわざ別の店を経由していくのもめんどくさいし」

「笹野もそれでいいか?」

「あ、うん。それで構わないわ」

 みゆきの登場前と登場後とでは雲泥の差で軽くなった心を抱えながら、いつもと変わらぬ笑顔を見せて、亜衣子は答える。すぐに顔をそらした自分のことを、高坂が優しい瞳と表情で見つめていることに、まるで気付かぬままで……。




        *      *     *




 カラオケ屋は、まだ大学生以外の学生が夏休みに入っていないからかかなり空いていて、好きな部屋を選んで入ることができた。祐真と未唯菜が先頭を切って入っていき、二人から三人掛けのソファをひとつふたりでしっかり占領してしまったので、テーブルを挟んだその向かい側の、高坂が先に腰を下ろしたソファの隣に座るしかなく、一瞬躊躇した後、亜衣子はそっと腰を下ろした。それからは、「まず昼食を摂ろう」ということになり、高坂と 並んで同じメニューを眺めることになった時は、部屋の照明が暗めでよかったと亜衣子は思った。赤くなった顔に気付かれないで済みそうだったから。心の底からそう思うのは、もう少し後のことだけれど。


 そうして、皆で順番に歌い始める。途中でやってくる食べ物や飲み物をつまみながらなので、少々せわしなかったけれど。心に重くのしかかっていた懸念が綺麗に霧散した亜衣子も、自分でも現金だと思うけれど心から晴れやかな気分で楽しんでしまった。もともと歌うことは大好きだし、 隣には誰よりも大好きな高坂が座って共に楽しんでいるしで────思えば高坂がひとりで歌っている声なんて、初めて聴いた気がする────こんな幸せなことはないのではないかと思ってしまうほどで。ほんとうに久しぶりに、心の底から浮かれまくってしまっていた。だから。

「亜衣子先輩、次の一緒に歌いましょっ」

 と未唯菜に声をかけられた時も、深く考えることなく笑顔で頷いて、そばにあったもう一本のマイクを手に取ってスタンバっていた。その曲名を、モニターで確認するまでは。

「…っ! 未唯菜ちゃん、これって…!?

「先輩歌えるって言ってたでしょ、はい、もう始まりますよっ」

 未唯菜の言う通り、にぎやかな前奏がすぐに終わり、歌の部分が始まってしまったので慌ててマイクを握り直す。歌い出した声が一瞬震えてしまったが、初めの頃の歌詞はとくに問題ないのですぐにもち直した…が。問題は、サビの部分だった!!

 その曲は、最近人気のアイドルグループのもので、学生の女の子が意中の相手にまるで自分に気があるかのような言動をされて、これから彼の恋人になれるかどうかを思い悩む歌であったりして、サビの部分ではずばり彼に対してそう問いかける歌詞があったりするのだ。未唯菜がどういう意図でこの曲を選んだのかよくわかっているだけに、亜衣子の頭の中はパニック状態だ。何とか表面には出さなかったけれど。

 歌いながら、視線があちこちに泳いでしまい、高坂と一瞬目が合った時には、みずからの頬が紅潮していくのを止められなくて、すぐにそらしてしまったけれど。照明が暗くてよかったと心の底から感謝してしまった。しまいには、彼にお弁当を作ってもよいかと問いかける歌詞まであったりして、ここまできたら、現実で高坂としている約束とオーバーラップして、もう何も考えられなくなって、ほとんど無意識で歌い終えてから元の席に腰を下ろした。もう恥ずかし過ぎて、高坂のほうなんて見られる訳がない。高坂がどんな顔をしているのか、また、どんな風に思ったかなんて、怖くて確認などできるはずは……もちろんない。

 亜衣子が下を向いて飲み物を飲んでいるうちに、祐真が次の曲を入れているが、そんなこともうどうでもいいぐらいに亜衣子の心は混乱していて。もうこれ以上混乱することなんてないと思っていたのにとんでもない誤算だった。

「慎吾せんぱーい、リクエストいいっスかー? 先輩なら絶対知ってる曲なんスけど」

「構わないぜ。誰の曲だ?」

「それは見てのお楽しみということで〜♪」

 やがて始まる、テンポのいい前奏。さっきまで亜衣子が使っていたマイクを高坂が握るのを横目に見てまた焦りかけるが──── それまでだって同じマイクをふたりで使っていたというのに、ここにきて急に意識してしまったのだ────その後歌い出した高坂の歌声を聴いた時の衝撃の比ではなかった。

 その曲は、ある男性アーティストの曲で、学生時代から好きだった女性と再会して、想いを再確認する男性の心情を歌ったもので……あまりに違う自分の現状と比較して、内心でほとんど無意識にため息をついてしまう。何となく視線を感じた気がして、歌本を見ていた顔をふいに上げて 横を見たとたん、まっすぐばっちりと高坂と目が合ってしまって、慌てて目をそらす。いま自分は、絶対に顔が赤くなっているに違いないと思うけれど、照明の暗さが隠してくれているだろうことがほんとうにありがたい。その間にも高坂の歌う男性の告白の言葉が曲に乗って続き、まるで自分が言われているかのような錯覚に陥ってしまう。これはただの歌の歌詞で、自分に対してのものではないことはわかっているのに、どうしても自分に向かって言われている気がして仕方なくて、高坂のほうを見ることなどできやしない。自意識過剰だと、自分でもわかっているのに!

 やがて曲が終わり、高坂がソファに座り直したのが、伝わってくる振動と音でわかった。先刻までのように拍手でもすべきだと思っているのに、まるで蝋で固められたかのように身体が動かなくて、顔すら上げられない。

「あっ 私お手洗い行ってきまーす」

「あ、俺もー。ついでにちょっと電話してくるー」

 よりによってこのタイミングで出ていくかとふたりに言いたいのに、喉も蝋で固められたかのように声すら出ない。何となく気まずい沈黙が、とり残されたふたりを包み込む。

「あ、のさ…」

 沈黙を破ったのは、高坂のほうだった。その声がどこか緊張しているように聞こえるのは果たして気のせいか。

「いつだったか飲み屋で逢った時……その直前に、笹野が友達らしい女の子たちと話してるの、俺偶然見ちまったんだよな」

「え…?」

 それはもしかして、あの…合コンだと知らされずに連れていかれた時のことだろうか? あの時自分たちはどんな会話をしていたっけと思い出して、亜衣子の心の混乱が最高潮に達していく。

「べ、別に盗み聞きするつもりなんかなかったんだけどっ 『笹野だ』と思っているうちに聞こえてきちまってっ ずっと好きな男がいるって……あれ、マジなのか…?」

 どくんっと自分の心臓が高鳴る音が聞こえた気がした。よりにもよって、高坂本人に聞かれていて、あまつさえそんな質問を投げかけられるなんて!!

「こ、これもそんなつもりはなかったんだけど、笹野、高一の夏頃に昼休みの特別教室棟で上級生らしい男子に告白されてたろ。俺、あの時も偶然近くを通りかかっちまって、聞いちまったんだよな」

 高一の夏……? 亜衣子は更に深く記憶の海をさらい、一生懸命該当する出来事を捜しだす。具体的なヒントがあると、見つけるのも早い。忘却の彼方に追いやっていたはずの当時の出来事が、つい昨日のことのように急速に脳内に呼び戻されてくる。

「!」

「あの時も…『他に好きな男がいる』って断ってたけど、もしかして、ずっと同じ奴のことを好きだったりするのか─────?」

「えっ!?

 驚きのあまり、思わず顔を上げて高坂のほうを見やると、高坂は真剣極まりない表情でこちらを見つめていて、そのあまりの真剣な瞳に一瞬心も身体も射すくめられた気がして動けなくなってしまう。

「あ…あ、の……」

 声が、震える。膝の上に置いた手が、夏だというのに指先から冷たくなっていくような気がして、震えながらきゅ…っと握り締める。亜衣子の答えを待っている高坂の瞳の真摯さに耐えきれず、俯きながらこくりと頷く。もうそれで精いっぱいで、言葉にして答える勇気までは出せなかった。

「そ、か……幸せ者だな、そいつは」

 貴方だと…いま自分の目の前にいる貴方だと告げたら、高坂はいったいどんな顔をするだろう? 喜んでくれる? それとも…困惑したような表情で、どう断ろうか悩んでみせる……? そう思った瞬間、心臓が凍るような恐怖を覚える。

 何の曲もかかっていない室内で────恐らく全室で流れているであろう、使っていない部屋に流れている宣伝放送は流れているが────沈黙だけが流れる。ドアの外、ふたりからは見えない位置で祐真と未唯菜が無言で聞き耳を立てていることに、気付くよしもなく。亜衣子は自分の頭の中を整理するので精いっぱいだった。

「もし…も……高坂くんのこと、だって言ったら……どう、する──────?」

 まともに顔が見られなくて、俯いたまま震える唇で、ともすれば消え入りそうなか細い声を紡ぐ。それでも、高坂の耳にはちゃんと届いたようで、驚きに息をのむ気配が伝わってきた。

「─────そ、そしたら……」

 しばしの沈黙の後、高坂が口を開いた瞬間。ドアがノックされる音が響き、亜衣子の心臓がいまにも止まってしまいそうなほどに跳ね上がる。ドアが開き、その場に響いたのは、祐真でも未唯菜でもない、明るい女性の声。

「お待たせしましたーっ ご注文のアイスコーヒーとウーロン茶、お持ちしましたーっ」

「あ…お世話さまですっ」

 まるで呪縛から解けたように身体が動いて、ほとんど無意識に空いた食器やグラスを店員に近い位置に集め始める。何も知らない店員が出ていった後も、完全に気が抜けてしまい、亜衣子は力なくソファに腰を下ろして、深いため息をつく。全身全霊の気力を振り絞って口にした質問だっただけに、限界まで張り詰めていた緊迫感が破られた後はもう何も言えず何もできず……高坂も同様なのか、後にはガスの抜けた風船のような空気だけが緩慢にふたりの間に流れていた。

 ああ……もうダメ、もう気力も何もわいてこないわ。だってほんとうに、持てる限りの勇気を振り絞ったんだもの、もうひとかけらの勇気さえ出てこない。何か気が抜けちゃったー。

 一度破られた緊迫感は、もう二度と戻ってはこず。心なしか残念そうな顔をした祐真と未唯菜が戻ってくるのを、高坂とふたり、ぼんやりと見つめていた。その後はほんとうに身体の力を抜きまくって残り時間を過ごして、その日はそれでお開きになった。そして。


「高坂くん、まだ明るいんだし、送ってくれなくてもよかったのに」


 家に帰る途中の道すがら、共に歩く高坂に亜衣子は声をかけた。

「いや。祐真だって藤原さんを送っていってんだし、夏とはいえもう夕方なんだ、女の子を独りで歩かせる訳にはいかないからな」

 言っている言葉は強気なものだったけれど、高坂の声も何だか気が抜けた感じがして、亜衣子の心境とそんなに変わらないのかなと思わせるものだった。

 もしかして。もしかして、高坂くんも同じ気持ちだって……思ってもいいのかな。

 でなければ、あんな昔の話なんて────高一の夏の、高坂が直接関わっている訳でもない出来事の話なんて、いまさら出す必要がないように思える。けれど、そんな風にまた独りよがりの末に思い込んで、勘違いだった場合を考えると……怖過ぎて。そう簡単に信じられない自分も心のどこかにいて…。亜衣子の心に、いくばくかの陰りを帯びさせる。

「どうした?」

 わずかに高坂より歩が遅れてしまった亜衣子を、高坂が何気ない様子で振り返る。

「あ、ごめんなさい、ちょっとぼんやりしちゃった」

「まだ暑いからな、夏バテとかには気をつけろよ」

「高坂くんもね。またハードな生活送ってるんでしょ?」

「ま、まあ、それを言われると弱いんだけどさ」

 くすくすくす。ふたりの笑い声が、虫の声にまぎれて夏の夕空に吸い込まれていった…………。




    


誤字脱字報告もこちらからどうぞ
返信はブログにて





2012.12.21改訂版up

何とか誤解は解けたようで…お騒がせなふたりです。
ちなみに亜衣子の歌った曲はA○B○の曲で
高坂のは○藤○義氏の曲です。


背景素材「tricot」さま