●とりびゅー(2000/09/24)


CAUTION!!
このページも特にネタバレを多く含んでいます。
っていうか、そのものズバリ。恋姫OAV第1巻
恋の巻を見ていない方でこれから見る予定がある
方は、このページを御覧にならない方がいいかと
思います。

でも正直言えば、見て(笑)


ではきちんとした感想などを。


最初に述べるべきことは、こうしたゲームのアニメ化についてです。小説等文字
媒体のアニメ化と違い、ゲームの場合は原作通りに作っては意味がないわけで、
かといって原作とかけ離れたものを作るわけにもいかず、いかに原作の色を残し
かつ新しい色を付けるか、そのバランスが一番大切なのではないかと思います。
と、私が考えていることをご承知の上で、以下を読んで欲しいのですが...


まず、今回の恋姫OAV、個人的には
90点くらいはあげてもいいと思います。
100点満点というのはあり得ません、だってそれじゃゲーム本体と同等という
ことになってしまいますから。まぁゲーム本体は100点満点以上なのですが。

OAV化するにあたって一番気になった部分は、恋姫の持つあの田舎の雰囲気、
郷愁を感じさせる原風景、それがちゃんと出ているかということ、そしてキャラ
を壊すことなくその雰囲気にマッチさせられるかということ。映像も、シナリオ
もね。そもそも恋姫にこれだけ入れ込むようになったのは、あの雰囲気に魅せら
れたということが一番の要因なのだから。

で、その部分については、よく出ていると思います。少しぼかしたような、パス
テルカラーの風景、少し草臥れた家々、生活感はあるのに人気のない、あの雰囲
気が。そしてシナリオも、雰囲気を壊すことなく、キャラも色づけをしていると
思います。っていうか、キャラはみんなそのまま、姿は渡辺真由美がやっている
から当たり前として、性格も、立ち振る舞いも。個人的にはそれが嬉しい。


さて、各論に移りますと、先日も述べましたが、アニメ化するにあたっての魅力
のひとつに、エピソードはあってもその場面や絵のなかったものの映像化、また
エピソードそのものはあってもそれを多少いじっての映像化、というものがあり
ます。また、その部分がひとつのスタッフ、特にシナリオ担当の方の腕の見せ所
と言うことが出来るでしょう。ただ、この部分というのは諸刃の剣で、うまく作
れば他の部分に多少難があっても間違いなくその評価は上がることになる反面、
ちょっとでも元々の話にそぐわないと見ている側は拒否反応を起こし、その反応
がそのままアニメの評価につながってしまうこともあります。

で、今回はどうだったか。まず冒頭のシーン、幼いころの4人と主人公が契りを
交わすシーン。これはやられました、まさにツボです。ゲーム中では「ご神木の
下で4人の血を舐めさせられた」というエピソードはあっても、それに近い絵は
杏子が怪我している絵と、魔雪がもじもじしてる絵しかありません。今回はちゃ
んと4人全部やってくれました。この部分だけ見てもシナリオの吉岡氏が恋姫を
気に入ってくれていることが伺えます。

それから、
那水が主人公と寝たことを朱雀と杏子に告白するシーン。これも出色
の出来でした。ゲーム中では杏子にバレて一悶着あったわけですが、それをここ
でやるには時間が足りない、ならば那水の方からバラしてしまえということなの
だと思いますが、その持って行き方が上手い。那水の告白の仕方、それに対する
朱雀、杏子、それぞれの反応。どれもその性格がよく表されています。淡々と、
冷静に告白する那水、驚いて何か言いたいものの二の句を継げずに顔を赤らめる
朱雀、杏子は
「那水姉ずるぅ〜い!!」「お兄ちゃん上手だったぁ?」という
ふたつの台詞がすべてです(笑) 多感で好奇心旺盛な、杏子の性格を表すのに
ここでこれ以上適した台詞はないでしょう。


次に、娘たちの登場シーンですが、朱雀と那水と杏子はゲームと同じかそれほど
変わりませんね。杏子はサービスカットつきでしたが(笑)で、魔雪だけは少々
違いますね。丘の上で出逢うのは同じでも、主人公が寝ているところに寄り添い
目を閉じる、
なんとも美味しい登場のしかたでしたな。ゲームのスタッフだけで
なく、今回のアニメのスタッフにも魔雪は愛されているようです。


順番が逆になってしまいましたが各キャラについて見てみますと、まず声優さん
はWIN版と同じ方のようです。クレジットがないので確認は出来ませんけど。

まず主人公の武蔵ですが、作中でも語られているように、慌てん坊で、少し間が
抜けてて、食い意地がはってて、気楽なお調子者だけど思いこみが激しくて、H
だけど純情で、折り紙付きの優柔不断、という見ていて情けないことこの上ない
キャラなのですが、その情けなさというか、八方美人さというか、よく出ていた
と思います。最後の
「まっ、なるようになるさぁ」という台詞はまさに主人公に
ぴったりの台詞でしょう。ひとつ注文をつけるとすれば、あっけらかんとしすぎ
ているかなと。もう少し優柔不断さが出てもよかったかなとは思いました。でも
そしたら余計に情けなくなることうけあいですな。

次に朱雀ですが、今回はあまり見せ場がなかったのですが、登場シーンといい、
前述の那水の告白シーンといい、うまく描かれていると思います。冒頭の木の上
からのフェイスクラッシャーが一番の見せ場かな?(笑)あと、最後にちょっと
だけ「見せ」場もありましたね。第2巻は朱雀の当番(笑)なので今から期待大
です。4人娘の中では一番口は悪いけど、一番ピュアな朱雀の魅力が全面に出て
るといいなぁ。あと、個人的に一番好きな台詞は
「おっぱい出てる」です(笑)

次に那水、今回の当番のひとりですが、基本的にはゲームと変わりありません。
Hシーンも同じでしたし、水浴びシーンもちゃんとありました。性格付けや4人
の中での立場付けも同じでちゃんと描かれています。ただ、天然な部分があまり
描かれてなかったかな。まぁ、この部分を入れるのは難しいとは思うのですが、
第2巻ではもしかしたら入るかもしれないなぁと期待しています。

次は魔雪、今回一番出番が少なかったのですが、その少なさもおそらくは第2巻
への伏線なのでしょう。でも登場シーンは美味しいですし、ちゃんと「見せ」場
もありました。しかもあの
「されてもよかったのに...」の台詞。美味しい所
は独り占め(笑)おそらく第2巻では魔雪を中心に話が進んでいくのではないか
なと。次回予告もそんな感じでしたし。

お次に杏子、今回大活躍でした。確かに一番動かしやすいキャラではあると思う
のですが、その動かし方も上手かったです。前述の那水の告白シーンといい、H
シーンといい、
多感で好奇心旺盛で耳年増(笑)な感じが非常によく出ていると
思います。ただ、Hシーンの前半はこれ以上ないくらい上手いなと思ったのです
が、ちょっと後半が濃厚すぎたかなと(笑) まぁあくまで個人的に思っただけ
ですが。

その他の登場キャラといえば、ばーちゃんにじじいに龍王ですか。ばーちゃんは
あんな感じでしょう。特に色づけする必要もないでしょうし。じじいは何か妙に
絵が上手く感じましたね。スタッフにじじいファンでもいたのでしょうか(笑)
あと龍王は声とシルエットしか出ませんでしたから、今回はなんとも。


まとめますと、今回の作品については
注文こそあれ文句はひとつもありません
30分という限られた時間の中で、よくここまで描いたと思います。期待よりも
不安の方が大きいとか言ってきましたけど、ほんとに杞憂でした。スタッフの皆
さんに感謝するばかりです。第2巻も今から期待を膨らませて待つことになりそ
うです。第2巻のストーリー予想でもしてみようかしら(笑)まぁそのあたりは
また日を変えて...


あ、そうそう、あとひとつ気になったのがエンディングの歌。特に恋姫の世界を
歌ったわけではないのかなぁ?マッチしているようなしていないような、微妙な
感じだったので。





tribute【トリビュート】〈感謝の贈り物〉の意。CDなどのトリビュート盤の
            ことで, 特定のアーチストやミュージシャンに対し
            て賞賛や捧げものの意を表すための企画。